「悪い脂肪」は「良い脂肪」に変わる!?脂肪細胞についての新発見で肥満治療に期待

肥満改善やダイエット成功の鍵は、脂肪を燃やすことだ。最新研究により脂肪燃焼のメカニズムが新たに明らかにされた。

英科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に今月掲載されたNuria Matesanz氏らの研究では、脂肪をためる「悪い脂肪」が脂肪を燃やす「良い脂肪」に変わるのを阻害する酵素が発見された。

なぜ肥満になる?その対策は?

参考:TED-Edの動画「肥満とは何なのか?」(日本語字幕あり

※終盤、日本語字幕に「世界人口は減少」と出ますが、現在も世界人口は増加しています(増加率は低下)。

肥満の原因 = 摂取カロリー > 消費カロリー

肥満や太りすぎの人は世界的に増えていて、最新研究によると成人の約8人に1人が肥満と考えられている。

肥満の基本的な原因は、摂取カロリーが消費カロリーを上回ることだ。

たとえば、たくさん食べるのにあまり運動しないと摂取カロリーが過多になる。その余分なエネルギーが脂肪として体に蓄えられる。

肥満の対策 = 摂取カロリー < 消費カロリー

つまり、肥満を改善するには摂取カロリーを減らすか、消費カロリーを増やせばよい。

これまでに、食事によるカロリー摂取を減らそうとした薬もあるが、効果は限られており副作用を起こすなどの問題もある。

そのため、カロリー消費を増やすという新しい肥満改善策も必要だ。

脂肪は2種類!肥満にとって「良い脂肪」と「悪い脂肪」とは?

白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞

私たちの体内の脂肪には2種類ある。脂肪を取り込む白色脂肪細胞と、脂肪を燃やす褐色脂肪細胞だ。

どちらの脂肪細胞も重要な役割を果たしているが、肥満対策の点で単純化していえば、

カロリーを蓄える白色脂肪細胞は「悪い」脂肪で、カロリーを燃やす褐色脂肪細胞は「良い」脂肪といえる。

近年注目される褐色脂肪細胞

「良い脂肪」である褐色脂肪細胞は、カロリーを熱として発散させて体温を維持するなどの役割を果たしている。

従来は、褐色脂肪細胞はヒトが生まれた後すぐに消えてしまうと考えられていた。

しかし最近の研究で、成人の体内にも褐色脂肪細胞が見つかり、肥満研究者の注目を集めている。

「悪い脂肪」は「良い脂肪」に変わる!

面白いことに、白色脂肪細胞(悪い脂肪)は「褐色化」というメカニズムで、褐色脂肪細胞(良い脂肪)のような働きができるようになる。

つまり、「悪い脂肪」は「良い脂肪」に変わることができる

「悪い脂肪」が「良い脂肪」に変わるのを阻害する酵素を発見!

Nuria Matesanz氏らの論文の図を改変(日本語を追加)

Nuria Matesanz氏らの研究の結果をまとめると・・・

肥満の人では「MKK6」という酵素が増えて、白色脂肪細胞の褐色化が阻害される(=悪い脂肪が良い脂肪に変われない)。その結果、肥満が悪化する。

つまり、将来的に酵素MKK6を減らしたり働きを抑えることで、肥満を改善したり体重を減らせる可能性がある

管理人チャールズの感想

脂肪燃焼を促すような新しい治療法を確立できるかどうかは、今後の研究次第でしょう。ジャンクフードを避けたり、運動したりすることは普段の生活の中でできるはずなので、意識して健康を目指したいですね。

ちなみにここで出てきた「酵素」は、「酵素ダイエット」というものとは直接的に何の関係もないと思われますのでご注意下さい!

主要参考文献・出典情報(Creative Commons)
Matesanz, N., Bernardo, E., Acín-Pérez, R. et al. MKK6 controls T3-mediated browning of white adipose tissue. Nat Commun8, 856 (2017). https://doi.org/10.1038/s41467-017-00948-z

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※近年、ヒトの腸内細菌などの共生微生物(マイクロバイオーム)が肥満と関連していることを示す研究もあります。詳しくは次の記事をご覧ください。

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