2020年話題になった最新科学論文ニュースまとめ10選

Altmetric社が2020年に世界的に話題になった論文トップ100のランキングを発表しています。

これを参考に生物学、心理学、テクノロジーAI関連の面白い研究や、新型コロナウイルス関連でいまだに物議をかもしていそうな論文など管理人の独断と偏見で研究論文を10本ご紹介します。(出典リンク付き)

※2020年は、おそらく100位まで新型コロナウイルス関連の論文だけでほとんど埋まってしまったためか、多数の研究がランキングから除外されていました。そのため、当記事ではAltmetricsの値から推定して100位内に相当すると思われる研究も一部追加しています(管理人が追加した論文の順位はAltmetricsの値から推定してカッコつきで表示しています)。

※免責:本記事は科学論文に関する個人的な解釈・一般的な情報提供に過ぎず、医療に関する専門家の助言や診断・治療などに代わるものではありません。医療・健康についての判断は専門家や公的機関の指示に従って下さい。

(第62位)ミツバチは動物の糞を使ってスズメバチから巣を守る

Snippet: Giant hornets on the attack? Try a little water buffalo poop

参考動画|Science:本研究の概要を紹介

アジアのミツバチはスズメバチからの強い捕食圧の下で進化してきたため、巣を守るための様々な防御行動がみられるようです。

本研究では、ベトナムのミツバチが巣の入り口に鳥や水牛の糞を置くことでスズメバチの侵入を防いでいる可能性が示されました。

なお、日本のミツバチの場合は「熱殺蜂球」で温度と二酸化炭素濃度を高めてスズメバチを死に至らしめるようです↓

スズメバチを撃退するニホンミツバチ | ナショジオ

参考動画|ナショナルジオグラフィック:スズメバチを撃退する二ホンミツバチ

本研究は、ミツバチが道具を使用する例としても最初の報告かもしれないとのことです。

※近年世界的に問題となっているミツバチの大量死などについては次の記事でも取り上げています。

2018年に話題になった生物学などの最新論文ニュースまとめ10選

※昆虫については次の記事もよく読まれています。
⇒ 昆虫にも痛覚があり、ケガ後に慢性痛を感じている可能性が実験で判明ー最新研究

Mattila HR, Otis GW, Nguyen LTP, Pham HD, Knight OM, Phan NT (2020) Honey bees (Apis cerana) use animal feces as a tool to defend colonies against group attack by giant hornets (Vespa soror). PLoS ONE 15(12): e0242668. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0242668

(第61位)ネコと一緒の男性の写真は女性にとって魅力的ではない?

画像クレジット:Lori Kogan and Shelly Volsche, 2020

出会いを求めている男性はネコと一緒のプロフィール写真を使ったとしても、女性受けがいいとは限らないのかもしれません。

これまで過去の研究では、出会い系サイトのプロフィールに関して、女性から見た男性の魅力と男性的であるという評価との間には関連がある(Fiore et al., 2008)ことや、イヌやネコといったペットが配偶者選択に異なる影響を与えている可能性が報告されているようです(Gray et al., 2015)。

今回、本研究ではネコの影響を調べるために、18~24歳の女性708名がオンライン調査で男性単独の写真とネコと一緒の写真(上の写真AとB)を評価した結果、ネコと一緒の男性の写真の方が、より女性的/神経質/協調的/開放的であると見なされ、なおかつデートの相手として選ばれにくい傾向がみられたとのことです。

ただ、今回の研究で使用した写真はペットと一緒かどうかだけでなく、体の姿勢・向きも変わっているためその影響ではないかという批判があるほか、女性がイヌ好きかネコ好きかによっても評価は変わりうるため、あくまで予備的な研究結果ととらえた方がいいかもしれません。

※心理学についての面白い研究は以下のページにまとめています。

⇒ 心理学の面白い研究論文まとめ

Lori Kogan and Shelly Volscheash.(2020) Not the Cat’s Meow? The Impact of Posing with Cats on Female Perceptions of Male Dateability. Animals 2020, 10(6), 1007; https://doi.org/10.3390/ani10061007

第54位 世界初、生きた細胞の微小ロボットが人工知能で誕生

Reconfigurable Organisms Video S1.

参考動画|Sam Kriegman本論文の筆頭著者が公開しているわかりやすい解説動画

従来のロボットでもなく生物でもない、生きた細胞からなるロボット「Xenobot(ゼノボット)」が世界で初めて作成されたようです。

人工知能のアルゴリズムを利用してコンピュータ上でデザインしたロボットを、アフリカツメガエル(Xenopus laevis)の胚の幹細胞を組み合わせて現実に作り出したとのことです。

構造を保つ皮膚細胞と収縮する心筋細胞がうまく再構成されることで、ゼノボットは自律的に移動したり、物を動かしたりできる他、自己再生も可能なようです。

今回用いた「進化的アルゴリズム」は、ダーウィンの進化理論(自然選択説)に着想を得ており、選択・変異を繰り返しつつ世代を重ねることで最適なデザインを見つけ出したようです↓

Evolutionary Algorithms

参考動画|Dr. Shahin Rostami:「進化的アルゴリズム」についての解説。

将来的な応用としては、ヒトの体内に安全に薬を送達したり、環境中のマイクロプラスチックを回収するといった様々な場面で役立つことが期待される一方、生命に関する倫理的問題も提起されているようです。

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⇒ 体内で極小ナノロボットが活躍!動画で最新医療ナノテクノロジーの応用例を紹介

Sam Kriegman, Douglas Blackiston, Michael Levin, Josh Bongard. A scalable pipeline for designing reconfigurable organisms. Proceedings of the National Academy of Sciences Jan 2020, 117 (4) 1853-1859; https://doi.org/10.1073/pnas.1910837117

第47位 牛のお尻に目玉模様を描くと、ライオンに襲われにくくなる

‘Eye-cows’ protected from lions

参考動画|CGTN Europe:本研究の概要についてのニュース報道。

目玉模様が捕食回避に役立っているという仮説はチョウの羽で特に有名なようですが、類似の同心円模様はその他の色々な動物でも知られているようです。

画像クレジット:Darkone

目玉模様が捕食回避に役立つメカニズムについては諸説あり、「①致命的な部位から攻撃をそらすため」、「捕食者を怖気づかせるため(②捕食者の天敵の目を模倣、あるいは③単に目立つ模様で驚かせる)」、さらに一部の鳥類では「④捕食者の存在に気付いていると誤解させるため」といった仮説が検討されているようです。

本研究では、家畜であるウシとその捕食者で貴重な野生動物でもあるライオンやヒョウの管理で難しい選択を迫られているボツワナにおいて、ウシに目玉模様などを描くことで捕食が防げるかどうか4年にわたり調べたとのこと。

目玉模様、×印、無印(対照)の処理で捕食回避の効果を比較(画像クレジット:Radford et al., 2020

結果は目を見張るもので、お尻に目玉模様を描いたウシではライオンやヒョウによる捕食は見られなかったそうです。ただ、×印の個体も無印より捕食が少なかったため、上記の③や④の仮説を支持するいくらかの証拠が得られたと考えているようです。こうした模様をウシに描くことは、安価で簡単な捕食回避対策として役立つ可能性が示されています。

※2019年にはウシに縞模様を描くと虫よけ効果があるという研究が話題になりました

⇒ 2019年話題になった最新科学論文・ニュースまとめ10選

Radford, C., McNutt, J.W., Rogers, T. et al. Artificial eyespots on cattle reduce predation by large carnivores. Commun Biol 3, 430 (2020). https://doi.org/10.1038/s42003-020-01156-0

第33位 人工知能AIで絵画の顔から信頼性を評価した研究が炎上?

ヨーロッパの肖像画に描かれた顔の「信頼性」を人工知能のアルゴリズムで評価した結果、時代の経過とともに「信頼性」が増加していることが分かったと主張する研究が発表されて物議をかもしたようです。

(画像クレジット:Safra et al., 2020

↑本研究ではさらに、こうした顔の信頼性の増加は経済成長(一人当たりのGDP)と関連がみられたとのこと。

以下は本研究を行ったNicolas Baumard氏のTwitterからの引用です。

※現在Nicolas Baumard氏のTwitterアカウントはすでに削除されているようです。

↑笑顔や眉毛などの特徴から顔の信頼性を自動的に評価するAIアルゴリズムをデザイン(左が信頼性が低く、右が信頼性が高いとのこと)

↓このアルゴリズムをアメリカ大統領に適応して信頼性を評価した例(バイデン : 1.39 トランプ : -0.63)

しかし、このAIのアルゴリズム自体は単純に人間の偏見をそのまま反映して作られたものであり、これをもって客観的な「信頼性」を評価しているかのような主張は疑似科学的な差別につながりうるとの批判も少なくなかったようです(批判の例はこちらこちらこちら)。

AIを利用する上での倫理的問題についても十分な議論が必要かと思います。(Mohamed et al.,2020)

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⇒ 顔写真から政治的指向がばれる?顔認識AI技術の現状

⇒ ディープフェイクとは?偽動画の例や仕組み・作り方・危険性などをまとめて紹介

Safra, L., Chevallier, C., Grèzes, J. et al. Tracking historical changes in trustworthiness using machine learning analyses of facial cues in paintings. Nat Commun 11, 4728 (2020). https://doi.org/10.1038/s41467-020-18566-7

(第23位)PCR検査の最重要論文、科学者らが欠陥指摘し撤回要求

2020年1月23日にドイツのドロステン氏(Christian Drosten)らが新型コロナウイルスのPCR検査についての論文を発表し、世界中でこの検査が広く使われるようになりました。

しかし、22名の国際的な科学者らが本論文について10個の科学的欠陥を指摘し、偽陽性を生み出す原因となっているとして論文撤回を要求したようです。

Review report Corman-Drosten et al. Eurosurveillance 2020 – CORMAN-DROSTEN REVIEW REPORT

今年に入ってからさらに追加の補遺情報が発表されているとのこと。

論文の欠陥としては例えば以下のような点が挙げられているようです。

・プライマーの濃度が高過ぎて非特異的結合が増えやすく、ウイルスの特定・診断には不適切

・Ct値の記載がない(Ct値35以上では偽陽性が急増すると考えられ、陽性と判定するCt値は30以下にするべき*)

・なぜか本論文が公表される前(2020年1月13日)の時点でWHOがこのプロトコルをすでに公開していた。

・本論文は投稿日の翌日に受理されており、十分な査読が行われていない疑いがある。

・ドロステン氏自身がジャーナルの編集委員を務めていて商業的検査機関と提携関係があったほか、PCR検査キットを最初に開発した会社(TIB-Molbiol社)のCEOも論文著者に含まれているなど、利益相反が申告されていなかった。

*日本の国立感染症研究所の病原体検出マニュアル(12ページ)によれば、45サイクル回して原則Ct値40以下を陽性としているように思われます。

また、ドロステン氏はこの直後1月30日に無症状者が他人にウイルスを感染させうると主張した最初の論文も出していますが、この無症状とされていた女性は実際には強いインフルエンザ薬を服用していたことが判明していて欠陥があり、ドロステン氏自身がそれを認めていたにもかかわらず、論文が訂正されないまま出版されたとのことです。

Study claiming new coronavirus can be transmitted by people without symptoms was flawed
A traveler to Germany from China who infected another person did feel ill, contradicting New England Journal of Medicine report
Cease and desist papers served on Prof. Dr. Christian Drosten by Dr. Reiner Fuellmich – CORMAN-DROSTEN REVIEW REPORT
Re: Covid-19: politicisation, “corruption,” and suppression of science

Reiner Fuellmich氏という弁護士で、ドイツ銀行やフォルクスワーゲンといった大企業の不正の訴訟に関わってきた方が、今回のコロナ禍は「コロナスキャンダル」と言い換えるべきだとしてドロステン氏やWHOのテドロス氏らを批判しており国際的な集団訴訟を進めているようです。

参考動画|DR. REINER FUELLMICH – CRIMES AGAINST HUMANITY「人道に対する罪」 (別リンクはこちら)動画の書き起こしテキストはこちら

Reiner Fuellmich氏らのインタビュー動画はこちらでも閲覧できるようです。(Youtube動画:こちらこちら

※この方々の主張の妥当性については現時点で私にはまだ判断できかねます。

Corman Victor M, Landt Olfert, Kaiser Marco, Molenkamp Richard, Meijer Adam, Chu Daniel KW, Bleicker Tobias, Brünink Sebastian, Schneider Julia, Schmidt Marie Luisa, Mulders Daphne GJC, Haagmans Bart L, van der Veer Bas, van den Brink Sharon, Wijsman Lisa, Goderski Gabriel, Romette Jean-Louis, Ellis Joanna, Zambon Maria, Peiris Malik, Goossens Herman, Reusken Chantal, Koopmans Marion PG, Drosten Christian. Detection of 2019 novel coronavirus (2019-nCoV) by real-time RT-PCR. Euro Surveill. 2020;25(3):pii=2000045. https://doi.org/10.2807/1560-7917.ES.2020.25.3.2000045

(第6位)FDA承認薬「イベルメクチン」新型コロナウイルスでも有効である可能性が報告される

ノーベル賞大村氏ら開発“抗寄生虫薬”が治療薬に?(20/05/02)

参考動画|ANNnewsCH:イベルメクチンについてのニュース報道

去年の比較的早い時期から、FDAで承認されている「イベルメクチン」という抗寄生虫薬が新型コロナウイルスの治療薬としても有効である可能性が報告されていたようです。

イベルメクチンは、日本の北里大学特別栄誉教授・大村智氏がノーベル賞を受賞するきっかけとなった薬で、オンコセルカ症というブヨによって媒介される熱帯の病気などに目覚ましい効果を示し、人類の健康と福祉の増進に貢献してきたようです。

きっかけは偶然見つけた・・・微生物から病気治療薬(15/10/06)

参考動画|ANNnewsCH:ノーベル賞受賞のきっかけとイベルメクチンについて

2019年には年間4億人が使用し、これまですでに40億人近くが使用してきた実績があるとのことです。開発からすでに長年が経過しているため価格も非常に安くなっているようです。

Ivermectin and COVID 19

参考動画|Dr. John Campbell:イベルメクチンの有効性についての考察

イベルメクチンの新型コロナウイルスへの有効性についてはその後も世界中で多数の研究が行われており、たとえば有志の科学者の方が以下のページでリアルタイムでこれまでの研究をまとめて下さっているようです。

Ivermectin is effective for COVID-19: real-time meta analysis of 46 studies
Ivermectin is effective for COVID-19. Early treatment - 79% improvement, p < 0.0001. All studies - 72% improvement, p < 0.0001. 1 in 70 trillion probability res...

⇒ イベルメクチンのCOVID-19に対する臨床試験の世界的動向(2021年3月)

他にも、日光浴や日頃の食事で補えると思われるビタミンDの有効性に関する研究も同じページにまとめられているようです。

Vitamin D is effective for COVID-19: real-time meta analysis of 58 studies
Vitamin D is effective for COVID-19. Treatment studies - 63% improvement, p < 0.0001 Sufficiency studies - 55% improvement, p < 0.0001

ただ、いずれも研究の質が低いという批判などがあるようで、その有効性については議論はいまだに続いているようです。

関連ニュース記事

⇒ コロナ重症化予防薬候補「イベルメクチン」使用認可を強く望む 東京都医師会・尾﨑会長

⇒ 米メルク、コロナ治療薬の初期治験データを第1四半期中にも公表へ別リンク

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⇒  新型コロナの治療薬としてイベルメクチンを現時点で承認すべきか?別リンク

薬やワクチンなどの情報に関しては、医師の方や製薬業界関連の方、あるいはそれ以外の方々でも利益相反の可能性をある程度は考慮した方が良いのかもしれません。

※上図は特定非営利活動法人Tansaのマネーデータベース『製薬会社と医師』(ワセクロ×MEGRI)より引用させて頂きました。

マネーデータベース『製薬会社と医師』~あなたの医者をみつけよう
マネーデータベース『製薬会社と医師』~あなたの医者をみつけよう
Caly L, Druce JD, Catton MG. et al. The FDA-approved drug ivermectin inhibits the replication of SARS-CoV-2 in vitro.
Antiviral Res 2020; 178: 104787 https://doi.org/10.1016/j.antiviral.2020.104787

第5位 ヒドロキシクロロキンの有効性についての論文撤回、不正なデータで

新型コロナウイルスの治療候補薬として、ヒドロキシクロロキンという抗マラリア薬も早くから注目されていて、議論が行われていたようです。

その中で、Lancetという有名な医学誌で発表されたヒドロキシクロロキンに効果が見られなかったとする論文について、180人以上の科学者らがデータに疑問を呈し、結局不正なデータが用いられていることが発覚して撤回となったようです。

Coronavirus Pandemic Update 80: COVID-19 Retractions & Data (Hydroxychloroquine, ACE Inhibitors)

参考動画|MedCram – Medical Lectures Explained CLEARLY:本論文の撤回についての解説

A mysterious company’s coronavirus papers in top medical journals may be unraveling
Scientists and journals express concern over influential studies of COVID-19 patient data that evaluated possible treatments such as hydroxychloroquine

この論文の結果を受けてWHOがヒドロキシクロロキンの臨床試験を停止するなど大きな混乱があったようです。ただし、その後の研究でもヒドロキシクロロキンに効果が見られないという結果もでているようで、議論はいまだに続いているようです。

HCQ is effective for COVID-19 when used early: real-time meta analysis of 221 studies
221 HCQ COVID-19 controlled studies. 64% improvement for early treatment, p < 0.0001.

データを提供していたのはSurgisphere社という会社で、同社のデータが用いられていたイベルメクチンに関する未査読論文やACE阻害薬に関するNew England Journal of Medicineの論文も同様に撤回となったようです。

昨年はこのように論文が撤回されたり、怪しい未査読論文が話題になることがかなり多かったのではないかと思われます。査読が適切に行われていたか、データの捏造や不正がなかったか、あるいは特定の団体からの政治的圧力や利益相反がなかったかなど、科学の腐敗に対して厳しく目を向ける必要があるのかもしれません。

以下は、科学の腐敗やデータの不透明性などを批判した大手医学誌の最近の例です

Covid-19: politicisation, “corruption,” and suppression of science
When good science is suppressed by the medical-political complex, people die Politicians and governments are suppressing science. They do so in the public inte...
Influence and management of conflicts of interest in randomised clinical trials: qualitative interview study
Objective To characterise and analyse the experiences of trial researchers of if and how conflicts of interest had unduly influenced clinical trials they had wo...
Relationships Between Academic Medicine Leaders and Industry
In this narrative medicine essay, a Brigham and Women’s Hospital (BWH) clinician uses the resignation of BWH's president from Moderna's board of directors after...
Peter Doshi: Pfizer and Moderna’s “95% effective” vaccines—we need more details and the raw data - The BMJ
On 5 February 2021 we published a clarification to this piece. It is available here.  Five weeks ago, when I raised questions about the results of Pfizer’s and ...
Global health disruptors: The Bill and Melinda Gates Foundation - The BMJ
The Gates Foundation has expanded the power of private philanthropic organisations, say Marlee Tichenor and Devi Sridhar The Bill and Melinda Gates Foundation w...
Mandeep R Mehra, Sapan S Desai, Frank Ruschitzka, Amit N Patel, RETRACTED: Hydroxychloroquine or chloroquine with or without a macrolide for treatment of COVID-19: a multinational registry analysis, The Lancet, 2020,ISSN 0140-6736, https://doi.org/10.1016/S0140-6736(20)31180-6

第2位 デンマークのランダム化比較試験ではマスクの効果が認められなかった

Covid-19に対するマスクの効果についてデンマークで約6000人を対象に実施されたランダム化比較試験では、マスク着用群とマスク非着用群で新型コロナウイルスへの感染率に有意な差は見られなかったようです。

ただし、この研究ではマスクをつけた人が他人への感染を防ぐかどうかについては検証できていないため、マスクの効果を全否定するような研究結果とは必ずしも単純にはいえないことには注意が必要と思われます。

マスクの効果については色々と議論があるようです。

Update Alert 5: Masks for Prevention of Respiratory Virus Infections, Including SARS-CoV-2, in Health Care and Community Settings | Annals of Internal Medicine
Effectiveness of Mask Wearing to Control Community Spread of SARS-CoV-2
This JAMA Insights CDC review summarizes accumulating evidence that mask wearing reduces spread of SARS-CoV-2 infection and that universal mandatory mask wearin...
Face masks cut disease spread in the lab, but have less impact in the community. We need to know why
In controlled laboratory situations, face masks appear to do a good job of reducing the spread of coronavirus (at least in hamsters) and other respiratory virus...
Covid-19: Important potential side effects of wearing face masks that we should bear in mind
In their editorial Greenhalgh et al advise that surgical masks should be worn in public to prevent some transmission of covid-19,1 adding that we should sometim...

また、マスクについては政治も関わっており、問題が複雑化しているようです。

⇒ テキサス州では10日から解除。マスク「しない」「する」で分断されるアメリカ別リンク

新型コロナウイルスへの対策については北欧のスウェーデンがマスクを積極的に推奨せずロックダウンも行わないなど独自の路線を貫いているようです。

Dr Anders Tegnell | Full Q&A | Oxford Union Web Series

参考動画|OxforUnion:スウェーデンの新型コロナ対策を指揮するAnders Tegnell氏へのインタビュー。内容はマスク・ロックダウン・PCR検査の運用などを含めて多岐にわたっています。

参考までに、以下はヨーロッパの人口100万人当たりの死者数のグラフです。

引用元:札幌医大フロンティア研ゲノム医科学のサイトからお借りしました

スウェーデンの人口当たりの死者数はヨーロッパで真ん中くらいですが、Covid-19と診断されてから30日以内の死亡は実際の死因に関わらず無条件でCovid-19の死者としてカウントしているとのこと。ある地域の調査によればCovid-19が真の死因であるケースは10-20%、間接的に影響したのが50-60%、残りの20-30%はCovid-19と全く無関係の死因との見積もりもあるようです。また今季は他の多くの国と同様、百日咳やインフルエンザの流行は皆無だったとのことです。

最近でも、厳しいロックダウンに有意な効果が見られなかったという論文(Bendavid et al., 2021)が発表されるなど、それぞれの公衆衛生介入の有効性については各国でいまだに議論が続いているようです。

H. Bundgaard, J.S. Bundgaard, D.E.T. Raaschou-Pedersen, C. von Buchwald, T. Todsen, J.B. Norsk, M.M. Pries-Heje, C.R. Vissing, P.B. Nielsen, U.C. Winsløw, et al. Effectiveness of Adding a Mask Recommendation to Other Public Health Measures to Prevent SARS-CoV-2 Infection in Danish Mask Wearers : A Randomized Controlled Trial
Ann. Intern. Med. (2020), https://doi.org/10.7326/M20-6817

第1位 新型コロナウイルスの起源は自然由来か?

2020年3月に公開されたAndersen氏らの論文では、新型コロナウイルスが研究室で人為的に遺伝子操作された産物ではなく、明らかに自然由来であるとの見解が発表されました。

The proximal origin of SARS-CoV-2
Virologist explains origins of COVID-19

参考動画|Tulane University:本論文の著者Robert Garry氏の談話

人為性を否定した根拠として例えば、以下のような新型コロナウイルスの構造やスパイクタンパク質の特徴などが挙げられているようです。

・ACE2との親和性が強い受容体結合ドメイン

・SARSなど近縁のコロナウイルスには見られないフリン切断部位

・既知のコロナウイルスで使われたことのないバックボーン

こうした特徴などを分析した結果、新型コロナウイルスは遺伝子操作されたものではなく、自然の過程で進化した産物であると結論づけたとのことです。

ドイツのドロステン氏など23名の科学者らはこの論文を引用して、新型コロナウイルスの起源は自然由来であり、人為的な改変が行われたウイルスである可能性や研究所から流出した可能性について語る「陰謀論」は偏見や恐怖を生み出すだけの誤情報で無益であり、中国やWHOと協力していくことが必要だと訴える声明を発表しています。

Statement in support of the scientists, public health professionals, and medical professionals of China combatting COVID-19

本論文に対する反論

しかし一方で、本論文の欠陥・矛盾を指摘している科学者もおり、人為的に遺伝子が操作された可能性は排除できないという反論がすでに査読論文としても複数出されているようです。

Questions concerning the proximal origin of SARS‐CoV‐2
Click on the article title to read more.
Might SARS‐CoV‐2 Have Arisen via Serial Passage through an Animal Host or Cell Culture?
This article from a father–son team explores whether the history and methodology of viral serial passage gain‐of‐function research provides a parsimonious expla...
The genetic structure of SARS‐CoV‐2 does not rule out a laboratory origin
The perfect binding ability of SARS‐CoV‐2 to human cells and the presence of the furin cleavage site, which is new for SARS‐like coronaviruses, might derive fro...
Tracing the origins of SARS-COV-2 in coronavirus phylogenies: a review
SARS-CoV-2 is a new human coronavirus (CoV), which emerged in China in late 2019 and is responsible for the global COVID-19 pandemic that caused more than 97 mi...

歴史的には、人為的に遺伝子操作された病原体が研究室などから流出したと考えられる事件はそれほど珍しくはなく、1977年のソ連かぜ(ソ連もしくは中国)、その2年後の1979年の炭疽菌漏出事故(ソ連)、2003~2004年SARSの漏出(シンガポール台湾中国)、最近でも2019年に中国でブルセラ属菌の漏出事故が報告されているとのことです。

また、機能獲得研究の歴史は古く、2008年にはコウモリのSARS様コロナウイルスを基にして受容体結合ドメインをヒトのSARSのものと置き換えたキメラウイルスの作成に成功し、2015年には武漢ウイルス研究所もSARSから別なキメラコロナウイルスを作成したことを発表しています。

Synthetic recombinant bat SARS-like coronavirus is infectious in cultured cells and in mice
Defining prospective pathways by which zoonoses evolve and emerge as human pathogens is critical for anticipating and controlling both natural and deliberate pa...
A SARS-like cluster of circulating bat coronaviruses shows potential for human emergence
Ralph Baric, Vineet Menachery and colleagues characterize a SARS-like coronavirus circulating in Chinese horseshoe bats to determine its potential to infect pri...

こうした歴史背景を踏まえた上で、連続継代部位特異的変異導入といった機能獲得研究の技術を用いることによって、自然の過程と似たような形で遺伝子改変の痕跡を残すことなく、ACE2との高い親和性をもつ受容体結合ドメインやフリン切断部位を作り出すことは可能であると主張しているようです。

また、自然発生説の鍵となっている、新型コロナウイルスに最も近縁と言われていたコウモリのRaTG13やセンザンコウのコロナウイルスのゲノム情報については、そのデータの信憑性に疑問の声が上がっているとのことです。

De-novo Assembly of RaTG13 Genome Reveals Inconsistencies Further Obscuring SARS-CoV-2 Origins
An intense scientific debate is ongoing as to the origin of SARS-CoV-2. An oft-cited piece of information in this debate is the genome sequence of a bat coronav...
Single source of pangolin CoVs with a near identical Spike RBD to SARS-CoV-2
Multiple publications have independently described pangolin CoV genomes from the same batch of smuggled pangolins confiscated in Guangdong province in March, 20...

2020年11月に発表されたRelman氏の論文では、現時点では以下の3つの仮説について、どれが正しいとも間違っているとも断定はできないと述べられています。

1、野生のコウモリ内で進化したウイルスが直接、もしくは中間宿主を介して自然にヒトに感染した

2、コウモリなどの動物から新型コロナウイルスもしくはその祖先となるウイルスが人間に採集されて研究室に持ち込まれ、場合によってはそこで遺伝子操作を伴う実験が行われたあと、事故で流出した

3、意図的に遺伝子改変されたウイルスが悪意を持って放出された(この仮説は可能性がかなり低い)

Opinion: To stop the next pandemic, we need to unravel the origins of COVID-19
We find ourselves ten months into one of the most catastrophic global health events of our lifetime and, disturbingly, we still do not know how it began. What’s...

いずれにしても、真実が早く明らかにされることを願っています。

新型コロナウイルスの起源についての論文は以下の記事にもまとめています。

⇒ 新型コロナウイルスの起源に関する論文まとめ

Andersen, K.G., Rambaut, A., Lipkin, W.I. et al. The proximal origin of SARS-CoV-2. Nat Med 26, 450–452 (2020). https://doi.org/10.1038/s41591-020-0820-9以上、2020年に話題になった科学論文・ニュースまとめ10選でした。
最後までご覧いただきありがとうございました!
2021年も科学がどのような方向に進んでいくのか、注視していきたいと思います。

最近話題になった研究については以下の記事でも触れています。

⇒ 2017年話題になった生物学の最新ニュース・論文まとめ10選

⇒ 2018年に話題になった生物学などの最新論文ニュースまとめ10選

⇒ 2019年前半に話題になった生物学などの最新論文ニュースまとめ10選

⇒ 2019年話題になった最新科学論文・ニュースまとめ10選

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