目の上側の化粧は顔の魅力を高めるのに、目の下側の化粧は顔の魅力をそこねる ー 最新の心理学研究で面白い結果が明らかになった。心理学論文誌「フロンティアーズ・イン・サイコロジー」に2018年12月に掲載されたA.C. Killian氏らの研究では、化粧が顔の魅力にどのように影響するかが実験で調べられた。彼らが注目したのは、目や口などのコントラストの変化と、顔の対称性の変化だ。
対称性は顔の魅力と関係している！？
左がオリジナルの写真、中央が顔左半分を完全に左右対称にした画像、右は顔右半分を完全に左右対称にした画像。人の顔は完全には左右対称ではない。（Killian氏らの論文から引用）
何が顔の魅力を高めるのか？についてはこれまで様々な研究がなされてきた。心理学者たちは長年、対称性と顔の魅力の関係について調べてきた。顔や体の対称性が配偶者選択において好まれることを示す研究がすでにある（Rhodes, 2006）。対称性が好まれる理由の説明としては例えば、対称性が健康の指標になっているという説や、あるいは視覚システムの単なる副産物に過ぎないという説などがある。
そのため、もしかしたら化粧というのは、顔の対称性を高めることによって顔の魅力を高めているのかもしれない。この仮説を確かめるために、本実験が行われた。
顔の魅力を高めるもう1つの鍵：コントラスト
顔の魅力についてもう1つの重要な要因はコントラストだ。目と口の部分のコントラストを増すことによって、より女性らしく認識されるようになるとの研究報告がある。また、Jones氏らの研究によれば、女性ではまゆげのコントラストが男性より弱いが、逆に目の部分のコントラストは女性の方が男性よりはっきりしているという。さらに、こうした男女の目のコントラストの差は、女性が目に化粧をすることでより強調されている可能性が示唆されている。（Jones et al. ,2015*）
*Cosmetics Alter Biologically-Based Factors of Beauty: Evidence from Facial Contrast A.L.Jones et al. Evbolutionary Psychology https://doi.org/10.1177/147470491501300113
目や眉毛部分のコントラストには、男女で差がある。（Jones et al. ,2015より引用）
※顔のコントラストと見た目の年齢の関係については以下の記事で取り上げています。
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本実験の概要
実験で用いた4種類の画像の例 左上：すっぴん（化粧なし） 右上：目の上のみ化粧 左下：目の下のみ化粧 右下：口のみ化粧 （Killian氏らの論文から引用）
被験者30人の化粧前後の顔の対称性を計測した。化粧は次のいずれかの部位にのみ行われた。
・目の上
・目の下
・口
化粧によって該当部位のコントラストが増すことが確かめられた。色の影響を排除して化粧によるコントラストの影響だけを調べるために、白黒の画像が使われた。34人の評価者が、30人の化粧あり/なし画像計60枚を見てその魅力を点数で評価した。
実験の結果は・・・
・目の上の化粧によって顔の魅力は高まったが、対称性には有意な変化が見られなかった。
・目の下の化粧によって顔の魅力は低下した。対称性も有意に低下していた。
・口の化粧では、顔の魅力にも対称性にも有意な変化は見られなかった。
本実験での結論！
・化粧が顔の魅力を高めるメカニズムとしては、対称性以外の別な要因があるようだ。
・目の上の化粧については例えば、まつ毛が長く見える・目が大きく見えるといったことが魅力を高めている可能性がある。
・目の下が暗くなることは、不健康な印象を与えるかもしれない。
・口の化粧については色が重要なのかもしれないし、あるいはそれほど顔の魅力を高めないのかもしれない。
・コントラストを高めることによる化粧の作用は、顔の部位によって様々に異なることがわかった。
管理人チャールズの感想
ひとまずのところ、化粧と顔の対称性の間には直接の関係が見つけられなかったようですが、顔の魅力についての興味深い研究でした。ただ、目の下だけの化粧というのはどこまで一般性があるのかな・・・・と正直ちょっと疑問に思いました（笑）。余談ですが、念のため肌や体の健康を気にされる方は、化粧品に含まれる化学物質などのリスクについても注意を払っておかれることをおすすめします。
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