ゴッホ作「星月夜」
芸術作品の捉え方は人それぞれだが、年齢を重ねることでも変わってくるかもしれない。
科学雑誌「PLOS ONE」に先週掲載されたFrancesco Walker氏らの研究では、同じゴッホの絵でも、大人と子供では見方が違うことがわかった。
実際の美術館で大人と子供の目の動きを追跡して比較
この研究では、実際にオランダのゴッホ美術館でゴッホの絵を見てもらい、大人と子供の目の動きを追跡して比較した。
従来の研究では、たいてい実験室やコンピュータのスクリーン上で絵を見てもらっていたため、今回の研究は画期的といえる。
5枚の絵を見てもらう2つの実験
Francesco Walkerらの論文より 被験者が美術館で見た5枚の絵(ゴッホ作)
大人と子供それぞれ12人の被験者に、あまり有名ではないゴッホの絵を5枚見てもらった。被験者は実験で初めてこの絵を見たことになる。
★実験1:被験者は自由に絵を見た。
★実験2:被験者は絵を見る前に、絵についての説明(背景知識)を与えられた。
大人の目の動き
Francesco Walker氏らの論文より 〇大人の被験者の視点
左は原画、中央は実験1(自由閲覧)、右は実験2(絵について予備知識を得た後)
赤い所ほど視点が集中していたことを示す。
黄色の枠線は、絵の説明(予備知識)で触れられた箇所。
子供の目の動き
Francesco Walker氏らの論文より 〇子供の被験者の視点
大人の方が予備知識の影響が大きかった!
大人も子供もどちらも、絵についての予備知識を与えられた後(実験2)の方が、その知識と関係する場所をよく見るようになった。そしてその効果は、大人の方が子供より大きかった。
また実験1では、子供は絵の中で物理的に目立つ(色や明るさについて)箇所を最初によく見た。一方、大人にはその傾向は見られなかった。
このことから、絵を見る際には、子供よりも大人の方が、予備知識や意図・解釈に強く依存していることが示唆された。
管理人チャールズの感想
芸術から何かを感じ取る方法はさまざまだと思いますし、正解はないでしょう。ただ、知識や分析ではなく、外部からの刺激に素直に反応する「直感力」みたいなものは何となく子供の方が優れている気はします。少なくとも自分はあまり頭でっかちにはなりたくないので、年をとっても子供のような感性は大切にしたいと思います・・・
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