不規則な睡眠は学校の悪い成績と関連?最新の科学研究結果!

不規則な睡眠パターンが学校での悪い成績と関連していることがわかった。

ネイチャーの姉妹誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載されたハーバード大学医学大学院のAndrew J. K. Phillips氏らの研究では、大学生を対象として、不規則な睡眠スケジュールと概日リズムや学業成績の関係が調べられた。

睡眠の問題は「長さ」だけじゃない?

大学生の睡眠時間や睡眠のタイミングにはむらがあり、多くの学生が睡眠不足に苦しんでいる。

成人の場合、睡眠不足は認識能力の低下や交通事故と関連しており、代謝性疾患(肥満・2型糖尿病など)・心血管疾患・精神疾患などのリスクを高めることが知られている。

しかし健康やパフォーマンスに重要な影響を及ぼすのは、睡眠の長さだけではないかもしれない

概日リズム(体内時計)と睡眠のズレ

概日リズム(体内時計)とは?

TED-Edの動画:体内時計はどのように働くのか? ― マルコ・A.ソトメイヤー (日本語字幕あり)

概日リズム(体内時計)とはおおむね一日を周期とした生理現象で、睡眠・覚醒のパターンに影響する。

2017年のノーベル生理学・医学賞は体内時計を生み出す遺伝子機構を発見したアメリカの科学者に授与されました。

概日リズムや一日のうちいつ眠るかによっても睡眠の内容は変化する。

概日リズムは光の影響を受ける

概日リズムは光(室内の明かりなども含む)にさらされることで影響を受けるが、体内時計を調節するのには時間がかかる。

そのため眠る時間帯をよく変える人は、結果的に光にさらされるパターンが変わり、概日リズムと睡眠/覚醒パターンの間にズレが生じる可能性がある。

このような概日リズムと睡眠/覚醒パターンの間のズレも、認識能力やパフォーマンスに悪影響を及ぼすかも知れない。

大学生61人の睡眠と概日リズムを調査

大学生61人の被験者に毎日の睡眠記録を付けてもらい、睡眠の規則正しさを定量化した。

概日リズムは唾液中のメラトニン分泌開始時刻(DLMO)で調べた。また、腕に記録機器を装着してもらうことでどのように光にさらされているか調べた。

睡眠の規則正しさは良い成績と相関あり!

調査の結果をまとめると・・・

・睡眠が不規則な学生は、睡眠が規則的な学生より、メラトニンの分泌開始(=概日リズム)と睡眠のピークがどちらも遅れていた。

睡眠の規則正しさは、学業成績と正の相関があった。しかし、因果関係ははっきりわからなかった。

・本実験では、睡眠の規則正しさと睡眠の長さは無関係だった。つまり睡眠が不規則でも、トータルの睡眠時間が少ないわけではなかった。

・数理モデルを用いた結果、睡眠が不規則な人の概日リズムが遅れた主な理由は、生理的な違いのせいではなく、光にさらされるパターンのせいだとわかった。

・よって概日リズムを早めるには、光をうまく活用するのが有効だろう。(例 体内時計の早い時間に十分な光を浴びるなど)

主要参考文献・出典情報(Creative Commons)
AJK Phillips et al. Irregular sleep/wake patterns are associated with poorer academic performance and delayed circadian and sleep/wake timing Sci Rep 7 (1), 3216. doi:10.1038/s41598-017-03171-4 (https://www.nature.com/articles/s41598-017-03171-4

管理人チャールズの感想

自分も睡眠パターンがかなり不規則なので、痛いところを突かれた感じです。

仕事やライフスタイルによって色々な睡眠パターンがあっていいと思うのですが、可能な範囲で睡眠を規則的にすれば、様々なパフォーマンスが上がるかもしれませんね。その際にはぜひ光を有効活用しましょう!

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