ホワイトノイズとは?睡眠や記憶力への効果や影響など研究・論文まとめ

「シャー」という雑音であるホワイトノイズは、赤ちゃんの睡眠を促したり、記憶力などのパフォーマンスを向上させる効果などが報告されている一方、長期的には脳に悪影響を与える可能性も一部の論文では指摘されているようです。

本記事では、ホワイトノイズの効果や影響についての研究・論文をいくつかまとめて簡単にご紹介します。

※管理人の目に留まった一部の研究を取り上げているだけで、包括的・網羅的なものではありません。また、記載している情報は必ずしも最新の知見ではなく、だいぶ昔の研究も含まれています。今後、新しい論文を追加するなど、記事の内容は更新される可能性があります。

そもそもホワイトノイズとは?

ホワイトノイズに近い音の例としては、昔のアナログ放送のテレビのいわゆる「砂嵐」画面の音が挙げられることがあるようです。

ホワイトノイズの辞書的な定義としては、たとえば広辞苑では

すべての周波数成分をほぼ同量ずつ含む仮想的な定常雑音。

同様の周波数成分を持つ光が白色に見えることになぞらえた称。白色雑音。

と説明されています。

↑すべての周波数の強度がほぼ一様になっているホワイトノイズの例

ホワイトノイズの音源

ホワイトノイズがどんな音か、実際に聞いてみましょう。(再生▶ボタンを押してください)

こちらの音源の周波数スペクトルは、次の通りです。どの周波数もほぼ同じ強さとなっており、たしかにホワイトノイズと言えそうです。

YouTubeの音源は必ずしも本物のホワイトノイズではない?

「ホワイトノイズ」としてアップロードされているYouTube音源の周波数スペクトルをいくつか調べてみたところ、実際には必ずしも厳密な意味でのホワイトノイズではないようです。

参考音源1:森の雨音

Rain in Forest White Noise | Sleep, Study, Soothe a Baby | 10 Hours Rainstorm

低周波側がやや強めになっているようです。

参考音源2:ファンの音

REALLY AWESOME FAN SOUND FOR SLEEP | White Noise For Superb Slumber, Studying & Relaxation

こちらは明らかに右肩下がりの周波数スペクトルとなっていて、ホワイトノイズとは言えなさそうですね。

スペクトルが平坦でないノイズは、「カラードノイズ」(有色雑音)!

このようにスペクトルが平坦でないノイズは、スペクトルが平坦なホワイトノイズ(白色雑音)に対して、カラードノイズ(有色雑音)と呼ばれるようです(Wikipedia)。

参考までに、以下にカラードノイズの例を挙げておきます。

ピンクノイズの音源と周波数スペクトル

右肩下がりのスペクトラムになっています

パープルノイズの音源と周波数スペクトル

こちらは逆に右肩上がりのスペクトラムになっています

参考までに、もう一度ホワイトノイズの音源をどうぞ

このように、同じような「シャー」あるいは「ザー」といったノイズにも色々あるようですね。

さまざまなノイズの違いや特性について理解できたところで、以下では、いよいよ、ホワイトノイズの効果や影響について調べた研究をご紹介していきます。

ホワイトノイズの効果や影響(メリットや潜在的なデメリット)

睡眠を促す効果あり!

赤ちゃん(新生児)にホワイトノイズを聞かせると、眠りにつく可能性が3倍以上になったとの報告があります。ホワイトノイズが外部の他の騒音などをマスキングすることによる効果と考えられているようです↓

White noise and sleep induction.
We studied two groups of 20 neonates, between 2 and 7 days old, in a randomised trial. Sixteen (80%) fell asleep within five minutes in response to white noise ...

(J A Spencer et al. White noise and sleep induction)

また、集中治療室(ICU)の患者を対象とした調査でも、ホワイトノイズによって睡眠が改善されたことが報告されています↓

Michael L.Stanchina et al. The influence of white noise on sleep in subjects exposed to ICU noiseより引用)

ホワイトノイズによって、環境中の他の雑音が相対的に目立たなくなるようですね。

The influence of white noise on sleep in subjects exposed to ICU noise
There is disagreement in the literature about the importance of sleep disruption from intensive care unit (ICU) environmental noise. Previous reports …

記憶力などパフォーマンスに及ぼす影響は一様ではない?

ホワイトノイズによって、ADHD(注意欠如・多動症)など注意力が欠けている生徒では記憶のパフォーマンスが上がった一方、もともと注意力があり集中できていた生徒では逆にパフォーマンスが下がったとの報告があります↓

Göran BW Söderlund et al.The effects of background white noise on memory performance in inattentive school children[CC]より引用)

注意力のない生徒(inattentive)と集中力のある生徒(attentive)でホワイトノイズの効果は反対だったようです。

The effects of background white noise on memory performance in inattentive school children
Noise is typically conceived of as being detrimental for cognitive performance; however, a recent computational model based on the concepts of stochastic resona...

他にも、ホワイトノイズが新しい単語を学ぶのに役立つといった報告や、タスクの種類によってホワイトノイズはプラスにもマイナスにも働くといった報告もあるようです。

ホワイトノイズが記憶力などのパフォーマンスに影響を及ぼす原因・メカニズムとしては、ドーパミンが関与している可能性などが考えられているようです↓

White noise enhances new-word learning in healthy adults
Research suggests that listening to white noise may improve some aspects of cognitive performance in individuals with lower attention. This study investigated t...
Differential effects of white noise in cognitive and perceptual tasks
Beneficial effects of noise on higher cognition have recently attracted attention. Hypothesizing an involvement of the mesolimbic dopamine system and its functi...

(Anthony J. Angwin et al. White noise enhances new-word learning in healthy adults)
(Nora A. Herweg et al. Differential effects of white noise in cognitive and perceptual tasks)

認知症の方の行動を改善できる可能性

ホワイトノイズによって、認知症を患う高齢者の方の興奮行動が改善されたとの報告があります。医療・介護の現場で応用できる可能性もあるようです↓

The Effects of White Noise on Agitated Behaviors, Mental... : Journal of Nursing Research
mily caregivers and healthcare providers to handle when caring for older adults with dementia. Purpose: The aim of this study was to investigate the effectiv...

(Lin Li-Wei et al. The Effects of White Noise on Agitated Behaviors, Mental Status, and Activities of Daily Living in Older Adults With Dementia)

バックグラウンドのホワイトノイズによって、聴覚が改善?

バックグラウンドにホワイトノイズがあるときの方が、無音状態の時よりも音を区別する能力が高まることがマウスの実験で示されているようです。人工内耳の開発などに応用できる可能性があるとのことです。

Rasmus Kordt Christensen et al. White Noise Background Improves Tone Discrimination by Suppressing Cortical Tuning Curves[CC]より引用)

White Noise Background Improves Tone Discrimination by Suppressing Cortical Tuning Curves
The brain faces the difficult task of maintaining a stable representation of key features of the outside world in noisy sensory surroundings. How does…

耳鳴りの治療にも使われるが、脳に悪影響を及ぼす可能性も

ホワイトノイズは耳鳴りの治療にも使われているようです。しかし、長期的には中枢聴覚系の機能的・構造的な統一性を損なわせ脳に悪影響を及ぼす可能性があるとして、ホワイトノイズによる治療の潜在的なデメリットを警告する論文も最近発表されています↓

Unintended Consequences of White Noise Therapy for Tinnitus
This narrative review argues that white noise exposure therapy for tinnitus induces maladaptive neuroplastic changes in the brain and discusses alternative ther...

(Mouna Attarha et al. Unintended Consequences of White Noise Therapy for Tinnitus—Otolaryngology’s Cobra Effect A Review)

米国耳鳴り協会(ATA)の見解によれば、現時点では、音量がそれほど大きくないホワイトノイズによる耳鳴り治療がヒトに悪影響を及ぼす直接的な証拠はないため、新たな副作用などが明らかにならない限りは現状の治療を継続するのがよいだろうとのことです。

まとめ

・ホワイトノイズによって睡眠の質を高められる可能性がある

・人によって、最適なノイズのレベルは違うかもしれない

・タスクの種類によって、ホワイトノイズが及ぼす効果はプラスにもマイナスにもなりうる

・耳鳴り治療などにおいて、ホワイトノイズには潜在的なデメリットもありうる

【管理人チャールズの感想】

ホワイトノイズを発生させる装置(ホワイトノイズマシン)やアプリはすでにたくさん出回っているみたいですね。赤ちゃんを寝かしつけたり、勉強に集中したり、あるいは騒音対策などをする上で、場合によっては一定の効果が得られるかもしれません。

ホワイトノイズに何か有害な作用があるかどうかは、まだはっきりとした証拠はないようですので、よほど心配な方は何か代替の手段を探すとして、あとは得られるメリットとの兼ね合いで判断されたらよいのではないでしょうか。

ちなみにホワイトノイズやピンクノイズの作り方は簡単で、例えばフリーソフトのAudacityなどで自動生成できます。周波数スペクトルの解析もこのソフトで行いました。

まぁでも、理想としては、結局、心地よい自然の音が聞ける環境にいるのが一番いいのかもしれないですね(笑)

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