ヘビやクモを怖がったり嫌がる人は多いが、なぜだろう?この恐怖心は生まれつきだろうか?それとも学習で身につけるのだろうか?
学術誌「フロンティアーズ・イン・サイコロジー」に先週掲載されたStefanie Hoehl氏らの研究では、生後6か月の赤ちゃんもヘビやクモを見るとストレスを感じることがわかった。
なぜヘビやクモが嫌いな人は多いのか?
クモやヘビが嫌いな人は多い。クモ恐怖症(アラクノフォビア)やヘビ恐怖症(オフィオフォビア)など、病的な恐怖を抱く人もいる。
しかし現在、特に先進国では、クモやヘビが実際にヒトに危害を加えることはほとんどない。
それなのに、なぜヒトはクモやヘビを怖がるのだろう?
ヘビやクモへの恐怖心は生まれつき?それとも学習?
ヘビやクモへの恐怖心が生まれつきで遺伝的なものなのか、それとも学習や文化によるものなのか、いまだに結論ははっきり出ていない。
従来の大人を対象とした実験では、恐怖心の原因が遺伝なのか学習なのか区別できない。
そこで、事前に経験や学習の機会がほとんどない赤ちゃんの出番だ。
生後6か月の赤ちゃんに画像を見てもらう実験!
色やサイズが似たクモと花( Stefanie Hoehl氏らの論文より)
色やサイズが似たヘビと魚( Stefanie Hoehl氏らの論文より)
Stefanie Hoehl氏らの研究では、生後6か月の赤ちゃんにヘビやクモの画像と、色や大きさが似た魚と花の画像を見てもらい、反応の違いを調べた。
この実験では瞳孔の大きさ※の変化を比較した。
※瞳孔の拡大は、ストレス反応と関連していると考えられる。
クモやヘビを見ると赤ちゃんもストレスを感じた!
( Stefanie Hoehl氏らの論文の図に日本語を追加)
実験の結果をまとめると・・・
赤ちゃんはクモやヘビの画像を見ると、似たような花や魚を見るときよりも瞳孔が大きくなった。
⇒ つまり赤ちゃんはクモやヘビを見るとストレスを感じることがわかった
クモやヘビについて学習していないはずの赤ちゃんが反応したことから、クモやヘビへの恐怖心はヒトに生まれつき備わっている可能性が高まったといえる。
恐怖心の起源は5000万年前にあり?
現在では、ヘビやクモは多くの人にとって危険ではない。
しかし4000万~6000万年前の人類の祖先にとっては、毒ヘビや毒クモは命を脅かす存在だった可能性がある。
毒ヘビや毒グモに対して素早く反応できたヒトだけがうまく生き延びて、子孫を残すことができたのかもしれない。
このようにして、クモやヘビへの恐怖心は子孫に受け継がれ続けて、いまだに私たちのDNAに刻み込まれているのかもしれない。
管理人チャールズの感想
クモやヘビの恐怖心についての興味深い研究でした。ただ、個人的には実はヘビやクモは全然苦手ではありません。むしろゴキブリや毛虫の方が恐ろしいです。次はこの恐怖心の謎を解明してもらえないかな・・・
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