太古の世界で卵からふ化した直後に琥珀内に閉じ込められてしまった、悲劇の昆虫が発見された。古生物学論文誌「パレオントロジー(Palaeontology)」に2018年12月に掲載されたRicardo Pérez‐de la Fuente氏らの論文では、約1億3000万年前の昆虫の卵の殻とふ化直後の幼虫を含む琥珀が記載されている。この希少な琥珀の発見は、ふ化メカニズムの進化を理解するのに役に立つという。
これは白亜紀前期のレバノンの琥珀で、生物を含む琥珀としては最古の部類だという。中に閉じ込められていた昆虫はクサカゲロウ科Chrysopidaeの一種。クサカゲロウの仲間には、幼虫がゴミのようなものを背負う習性を持つ種がいる。幼虫は肉食性でアブラムシなどを食べることから、農業上の益虫としても利用されることがある。
クサカゲロウの動画
参考動画:MDFIDF 様 「クサカゲロウ孵化」
参考動画:Kentaro Iwamoto 様「クサカゲロウ、アブラムシを食らう。」
琥珀に閉じ込められたクサカゲロウの画像
以下、琥珀に閉じ込められた昆虫の写真(The hatching mechanism of 130‐million‐year‐old insects: an association of neonates, egg shells and egg bursters in Lebanese amber Ricardo Pérez‐de la Fuente et al. https://doi.org/10.1111/pala.12414 [cc] より引用)
↑上の写真と図は卵の残骸を拡大したもの。下の写真は幼虫がふ化の際に使用したと考えられる、卵の殻を破るための器官(卵の抜け殻に付着している)を拡大したもの。
↑下図で灰色に塗られた部分は卵の残骸
再現図。色や卵の柄は、現存の種をもとに想像で描かれたもの。
ふ化時に用いたと考えられる卵の殻を破壊するための器官は、現存種が用いている器官と似ていた。そのため、このクサカゲロウのふ化メカニズムは約1億3000万年前の白亜紀初期までに確立されたと著者らは考えているという。
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