配偶者の収入は夫の心理的なストレスと関連している可能性があるようです。
心理学雑誌「Personality and Social Psychology Bulletin」に2019年10月に掲載されたJoanna Syrda氏の論文によれば、アメリカで6000組以上の異性愛者のカップルを調べた結果、夫の心理的なストレスは妻の稼ぎが世帯収入の40%の時に最も少なくなり、40%を超えると増加することがわかったようです。
「夫は妻よりも稼ぐべきだ」という価値観が精神的プレッシャーに?
参考動画|論文の執筆者であるJoanna Syrda氏が研究の概要を解説しています(英語)
夫のストレスは、妻の収入に完全に依存している場合に最も高かったようです。逆に、妻の収入が0の場合にも夫のストレスはそれなりに大きかったため、女性パートナーの収入と男性の心理的ストレスの関係はU字型を示したとのことです。
※わかりやすく伝えるためのおおざっぱなイメージ図です
アメリカでは、1980年代には女性が働いて稼ぐ金額は家庭の収入の10%をかろうじて超えるくらいだったようですが、最近では、女性の約3人に1人が夫よりも多く稼いでいるようです。
「夫は妻よりも稼ぐべきだ」という伝統的に根強いジェンダーの社会規範が、男性のメンタルヘルスに悪影響をおよぼす可能性が今回の研究では示唆されたとのことです。
ちなみに、興味深いことに、今回の研究では、結婚当初から女性の方が男性より稼いでいた場合には、男性のストレスは発生しなかったようです。
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という価値観の変化
最近の日本の世論調査のデータを見てみると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に対しては、反対派が増加傾向にあるようです↓
出典:「男女共同参画社会に関する世論調査」(内閣府)https://survey.gov-online.go.jp/r01/r01-danjo/gairyaku.pdf(2019年12月3日に確認)
平成4年から令和元年の25年間で、賛成と反対の比率がほぼ逆転しており、
令和元年9月時点で 賛成35.0% 反対59.8% となっています。
女性が外に働きに出ることや、男性が家庭を守ることに対する意識・志向は高まっている傾向にあるのかもしれません。
家庭のあり方や仕事に対する考え方・価値観は時代によって様々に変化していくもので、流行り・廃りもあるとは思うのですが、どんな時代であれ、世の中には本当に色んな夫婦のあり方が存在すると思いますので、ともかくまずはカップルの当事者がお互いに納得・満足できる生活が実現できたらいいのではないでしょうかね。
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