水深10,890メートル、世界で最も深いマリアナ海溝にすむ生物を調べた結果、驚くべき人間の影響が明らかになった。英科学誌「ロイヤルソサイエティ・オープンサイエンス」に2019年2月に掲載されたA. J. Jamieson氏らの研究では、マリアナ海溝など深海にいる甲殻類を調査した結果、その体内からマイクロプラスチックが発見された。
地球上で最も深い海・マリアナ海溝にすむ生物
参考動画|アバディーン大学:マリアナ海溝にいるさまざまな生物の映像
水深5000~6500mには大型の魚類、6500~8000mには巨大な端脚類(ヨコエビの仲間)と小型のスネイルフィッシュ、8500m以上の深さでは小型の端脚類の群れが見える。
今回の調査で採取されたマリアナ海溝などの端脚類ヨコエビの仲間 (a) Hirondellea gigas, (b) Hirondellea dubia and (c) Eurythenes gryllus. スケールバー = 10 mm (A. J. Jamieson氏らの論文[CC]より引用)
マイクロプラスチックによる海洋汚染を調査
本研究では、2008~2017年の間に世界の6つの海溝(水深7000m~10,890m)にすむヨコエビを採集して、その後腸にマイクロプラスチック(0.1㎛~5mmの微小なプラスチック)があるかどうか調べた。
今回の調査でヨコエビ類を採取した6つの海溝 (A. J. Jamieson氏らの論文[CC]より引用)
マリアナ海溝(水深10,890m)で採集したヨコエビの後腸で見つかったマイクロファイバーの例 (A. J. Jamieson氏らの論文[CC]より引用)
その結果、調査したヨコエビ類の70%以上(90個体中65個体)で体内にマイクロプラスチックが発見された。
マイクロプラスチックが潜在的に海洋生物にどれほど悪影響を及ぼすのかについては、まだ十分に解明されていないものの、本研究によって、プラスチック汚染の影響をうけていない海はほどんどないことが示唆された。
管理人チャールズの感想
海洋のプラスチック汚染の実態を明らかにした研究でした。風が吹けば桶屋が儲かる、ではないですが、地球の広大で複雑な生態系のネットワークの中では、良くも悪くもお互いに影響しあっているのだろうな、と改めて思いました。
※マイクロプラスチックの海洋汚染については次の記事でも詳しく取り上げています。
⇒ マイクロプラスチックを海洋哺乳類の体内で発見、調査した全個体でー英最新研究
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