長年、1種と考えられていた電気ウナギは、どうやら3種だったようです。
英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に2019年9月に載ったC. David de Santana氏らの論文では、DNAや形態・生態などを調べた結果、新種を含めてデンキウナギは実は3種だったと結論されています。そのうち1種では、これまでの記録を上回る電圧860ボルトが測定されたようです。
アイキャッチ画像:新種を含むデンキウナギ3種(C. David de Santana氏らの論文[CC]より引用)
デンキウナギとは?発電の仕組みや驚異の攻撃能力
デンキウナギの強力な電気は、捕食や防衛に利用されているようです。
なぜデンキウナギは発電できる?
参考動画|TED-Ed:電気ウナギを含む電気魚はどうやって発電している?発電の仕組み・原理がわかりやすく解説されています(日本語字幕あり)
この動画の説明によれば、発電器官は、何百ないし何千と積み重なった発電細胞からできているとのことです。発電細胞は、神経からの信号でイオンを取り込んで、前面と後面で電荷が逆になるため、何千個もの電池を直列につないだのと同じように電流が流れるようです。
デンキウナギ自身が感電しないメカニズムは、まだ完全には解明されていないとのことです。
ワニや馬に対して、水面から飛びだして攻撃?
1800年3月に探検家フンボルトが目撃したとされる、現地の漁師が馬を利用して電気ウナギを捕獲する様子。電気ウナギが放電して疲れたあとで安全に捕まえたという(Catania氏の論文から引用)
参考動画|CNN:電気ウナギが水面から飛び出してワニや手の模型を攻撃する様子(英語のみ)
飼育環境の実験では、デンキウナギは攻撃対象によりかかることで、より強力な電気ショックを与えることができたようです(Catania氏の論文)。乾季に水面が浅くなったときに捕食者から身を守るのに役立つと考えられ、探検家フンボルトの証言とも一致している可能性があるとのことです。
電気ウナギは1種類ではなく、3種類だった!
今回、C. David de Santana氏らの研究では、アマゾン川で採集した107匹のデンキウナギの標本を調べた結果、これまで唯一の種と考えられていたElectrophorus electricusに加えて、新たに2種を含む、計3種が存在するとの結論が出されたようです。
↑デンキウナギの系統樹(C. David de Santana氏らの論文[CC]より引用)
↑デンキウナギ3種の主な形態の違い(C. David de Santana氏らの論文[CC]より引用)
このうち、新種のElectrophorus voltaiでは電圧860ボルトが記録され、過去にElectrophorus属で記載されていた650ボルトを大きく上回る結果となり、これまでで最強の発電生物となったようです。
管理人チャールズの感想
デンキウナギについての面白い研究でした。ちなみに、デンキウナギは分類群的にはウナギの仲間ではないようですね。食べたらどんな味がするのかは・・・不明です。
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