チンパンジーが様々な動物を狩ってその肉を食べることは知られていましたが、甲羅を持つカメさえ食べるようです。英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に2019年5月に掲載されたSimone Pika氏らの研究では、アフリカのガボンに生息するチンパンジーが、カメの甲羅を叩き割って捕食する様子が初めて直接観察されました。
アイキャッチ画像クレジット:Erwan Theleste, CC BY-SA
チンパンジーがカメを捕食している様子をとらえた動画
参考動画|The Telegraph:本研究の概要を解説したニュース動画(英語のみ)
カメを叩き割る行動は、ほとんどの大人のオスのチンパンジーで頻繁に観察されたようです。
これまでチンパンジーは鳥類・昆虫・哺乳類を捕食することが知られていましたが、今回の研究によって、このメニューに爬虫類が新たに加わることになりました。
カメの肉を得ることに成功した個体が、他の個体(カメの甲羅を割ることに失敗した個体を含む)と肉を分け合う行動もみられたようです。
また、ある個体では、食べかけのカメを木の上に保存しておいて、翌日再び食べる行動がみられたとのこと。将来の計画を立てたりするような認知能力は人間特有のものである、という仮説に疑問を投げかけることになるかもしれないようです。
チンパンジーが用いる打ちこわし技術
参考動画|BBC Studios:チンパンジーが2つの石をハンマー・台として巧みに用いて、ナッツの硬い殻を開けて中身を取り出して食べる様子が捉えられている。子供のチンパンジーがこの技術を観察して真似しようとしている様子も見られる。(英語のみ)
今回の発見は、チンパンジーのこうした打撃技術についても新たな光を投げ掛けているようです。
管理人チャールズの感想
チンパンジーのカメ捕食行動を初めて直接観察した、興味深くも生々しい研究報告でした。他の地域のチンパンジーでこれまでカメの捕食が観察されなった理由としては、チンパンジーとカメの生息域が重なっていないことや、カメ以外の肉が豊富にあること、といった可能性が考えられるようです。あるいは、もしかするとこのカメ捕食行動は、ガボンのチンパンジー個体群特有の文化なのかもしれません。そうだとすれば、さらに面白いことになりそうですね。
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