2017年話題になった生物学の最新ニュース・論文まとめ10選

Pocket

Altmetric社が2017年に影響力の大きかった論文トップ100のランキングを発表しています。

当記事ではその中からオンラインで無料閲覧できる2017年話題になった生物学関係の研究論文を10本ご紹介します。

第63位 3Dプリンターで作った人工卵巣でマウスが出産に成功

参考動画:Newsyによる本研究の報道(英語)

3Dプリンターによってすでに耳や腎臓などの作成が試みられています。
本研究では3Dプリンターで作られた人工卵巣がマウスの体内で機能することが確認されました。

今後はヒトの不妊治療などへの応用も期待されます。

原著論文:Laronda MM et al. A bioprosthetic ovary created using 3D printed microporous scaffolds restores ovarian function in sterilized mice   Nature Communications https://www.nature.com/articles/ncomms15261

第24位 プラスチックを分解するガの幼虫を発見

参考動画:Newsyによる本研究の報道(英語)

環境への負荷が懸念されているプラスチックですが、レジ袋などに使われるポリエチレンを分解できるガの幼虫が発見されました。
本研究の知見が今後プラスチックごみ問題などに応用できる可能性も期待されます。

原著論文:Bombelli P et al. Polyethylene bio-degradation by caterpillars of the wax moth Galleria mellonella  Current Biology  https://doi.org/10.1016/j.cub.2017.02.060

第17位 インスタグラムの投稿写真からAIがうつ病を診断

参考動画:Newsyによる本研究の報道(英語)

写真や動画を共有するSNS「インスタグラム」への投稿写真から投稿者がうつ病かどうかを、人工知能(AI)プログラムが人間の一般開業医よりも高い精度で診断できたと発表されました。

うつ病の人は例えば、より暗くて青色・灰色が強い写真を投稿する傾向があったようです。

本研究の成果は今後うつ病などの早期発見に役立つことが期待されます。

関連記事⇒うつ病は脳の構造を変えるー大規模調査で判明、最新脳科学研究

原著論文:Reece AG et al. Instagram photos reveal predictive markers of depression   EPJ Data Science  https://epjdatascience.springeropen.com/articles/10.1140/epjds/s13688-017-0110-z

第15位 がんの原因となる遺伝子変異の3分の2はDNAの複製エラーに起因

参考動画:論文の著者Tomasetti氏らが、がんの原因に関する本研究の成果をわかりやすく解説しています(英語)

がんの原因となる遺伝子変異を引き起こす要因は3つ(環境要因、遺伝要因、細胞分裂時のDNA複製エラー)ありますが、変異の3分の2はDNAの複製エラーに起因していたようです。

DNAの複製エラーは不運としか言えないため、著者らはがん予防の自助努力をしたにも関わらずがんになってしまった患者の方々は罪悪感を感じるべきではないと主張しています。

原著論文:Tomasetti C et al.Stem cell divisions, somatic mutations, cancer etiology, and cancer prevention   Science  http://science.sciencemag.org/content/355/6331/1330.full

第10位 人工子宮で羊の胎児を育てることに成功

参考動画:Tech Insiderによる本研究の報道(英語)

本研究では 「バイオバッグ」と呼ばれるポリエチレンの袋で、羊の胎児を育てることに成功したと発表。将来的にはヒトの早産児への応用を目指しているようです。

原著論文:Partridge EA et al.An extra-uterine system to physiologically support the extreme premature lamb   Nature Communications  https://www.nature.com/articles/ncomms15112

第8位 羽に覆われた恐竜のしっぽを琥珀中で発見

参考動画: National Geographic が本論文の琥珀画像などを取り上げています(英語)

この恐竜の羽毛は立体構造まで保存されており、羽毛の進化についての理解が深まることが期待されます。

原著論文:Lida Xing et al. A Feathered Dinosaur Tail with Primitive Plumage Trapped in Mid-Cretaceous Amber   Current Biology https://doi.org/10.1016/j.cub.2016.10.008

第7位 子供や若者の肥満が過去40年で10倍に増加

参考動画:VOA Newsによる本研究の報道(英語)

 世界保健機関(WHO)などが、世界200カ国から1億人以上の身長と体重のデータを分析した結果を発表。肥満の増加傾向に対し、ジャンクフードへの課税や健康的な食事の推進など対策を呼びかけています。

関連記事 ⇒ 「悪い脂肪」は「良い脂肪」に変わる!?脂肪細胞の新発見で肥満治療に期待

原著論文:NCD Risk Factor Collaboration. Worldwide trends in body-mass index, underweight, overweight, and obesity from 1975 to 2016: a pooled analysis of 2416 population-based measurement studies in 128·9 million children, adolescents, and adults   The Lancet  https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32129-3

第6位 ドイツの自然保護区の飛行昆虫が約30年で4分の1以下に減少

世界的な昆虫の減少が科学者らの関心を集めています。昆虫は送粉者あるいは鳥や他の動物の食料などとして食物網において重要な役割を果たしており、生態系への影響が懸念されています。

原著論文:Hallmann CA et al.  More than 75 percent decline over 27 years in total flying insect biomass in protected areas   PLoS ONE  https://doi.org/10.1371/journal.pone.0185809

第4位 ヒト胚にCRISPR遺伝子編集を用いて遺伝病の原因遺伝子を修正

参考動画:Al Jazeera Englishによる本研究の報道(英語)

本研究では、ヒトの受精卵にCRISPR遺伝子編集を用いて、遺伝性心筋症の原因となる遺伝子変異を除去したと発表。倫理的問題を含めて議論が巻き起こっています。

関連記事 ⇒ ゲノム編集・クリスパーcrisprとは?わかりやすい動画で簡単な原理や倫理的問題を解説

原著論文:Hong Ma et al. Correction of a pathogenic gene mutation in human embryos   Nature  https://www.nature.com/articles/nature23305

第1位 脂肪や炭水化物の摂取と心臓血管疾患・死亡率との関連についての調査結果

世界18カ国から35~70歳の10万人以上の食生活について大規模に調べた結果、次のようなことなどがわかりました。

★炭水化物の摂取量が高いことは高い死亡リスクと関連

★脂肪の摂取量が高いことは低い死亡リスクと関連

★飽和脂肪の摂取量が高いことは、低い脳卒中リスクと関連

論文の著者らは、炭水化物や脂肪について従来の食事ガイドラインを見直すべきと主張しています。

この論文自体の問題点や論文解釈の注意点などについて詳しく指摘しているサイトもありましたのでリンクを載せておきます。

原著論文:Dehghan M et al.  Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study   The Lancet https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3

管理人チャールズの感想

2018年もどんな研究成果が出てくるか、今から楽しみですね。本年もダーウィン・ジャーナルをどうぞよろしくお願いします!

Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。